いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
強引に手を引かれ、触れた体───
……もう一度、触れてみたい。
本能がそう叫び、気付いたら手を伸ばしていた。
「う、ん……」
そのとき、黒崎くんの口元から小さく声が漏れて。
あっ、と我に返って手を止める。
……あたし、なにをしようとしてたの……?
もうすぐ黒崎くんの髪に触れる寸前の自分の手を見て、その行動に驚きと戸惑いが混じりその手をグッと握りしめた。
どうかしてるよ、あたし……。
目の前の黒崎くんはもうすぐ眠りから覚めるのか、瞼の裏を執拗に動かしている。
それにしては少し様子がおかしい。
怖い夢でも見てるの?
うなされてる?
額にはうっすら汗が滲んでいる。
「……からっ……」
少し開いた口からは、再び苦しそうな声が漏れた。