いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「あ、待って」


あたしは急いで本を棚に戻し、その後を追った。




人気のない放課後の校舎に響くふたつの足音。

全くあたしを気にせず自分のペースでスタスタと歩くその背中に問いかける。



「ねえ……どこに行くの……?」



……返事はない。


迷路のような校内を慣れたように歩き、階段を1階、2階と上っていく。



「……もう…」



諦めて、そのまま返事のない背中を小走りに追いかけていると。


ダンッ。

4階へ昇りきったとき、黒崎くんが急に足を止めたものだからその背中にぶつかってしまった。



「いたっ」



あたしの声には反応せず、黒崎くんは少しだけ頭を後ろに振った状態で言葉を落とす。



「……今なら、まだやめられる」



意味がわからなかった。



「やめるって、なにを……?」


「アンタに見せるのは、俺の意図するところじゃない」


「…………」



見せる……って。

この先になにがあるっていうの?

< 154 / 389 >

この作品をシェア

pagetop