いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
どうやら、ボールを蹴ったのは律くんだったみたいで。
その瞬間、感じた痛みが一瞬にして溶けたんだ。
あたしの名前を知っててくれた……それだけで、跳びあがりそうなくらいうれしくて。
関わることなんてない。そう思ってたくせに、あたしは抑えていたものが一気にはじけて、律くんに心を奪われちゃったの。
『ごめんっ!うわっ、真っ赤になってるじゃん!歩ける?俺、家まで送るよ』
『だ、大丈夫ですっ』
『ためだよ、何かあったら困るし。ほら掴まって』
『ひとりで歩けますからっ…』
何度も何度も断ったのに律くんは聞いてくれず、そのまま部活を放り出して家まで送ってくれた。
明るいだけじゃなくて、責任感が強くて優しくて。
それがあたしに向けられてるなんて、夢みたいだった。