いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「アンタが塾でいない日を狙って密会なんて、悪質だろ?」
目の前の彼が悪魔に見えた。
でも事実はそうなわけで、胸に鉛を乗せられたように苦しい。
塾のない月水金はいつも一緒に帰っていた。
それこそが、あたしを油断させる策だった……?
「逆に感謝しろよ」
それでも毒を吐き続ける彼の言葉は。
「こうでもしなきゃ、一生白鳥に騙され続けただろうな」
……間違ってないかもしれない。
全然気づかなかった。
疑いもしなかった。
なのにあたしが浮気しちゃったかも、なんて胸を痛めて。
「だから言っただろ。付き合おうよって」
「……っ!」
「あんな浮気彼氏と別れて、俺に乗り換えれば?」
「……」
グッとその顔が近づいて来る。
涙で濡れた頬を、黒崎くんが親指で拭う……。
いつかみたいに唇が近づいて。
窓から入って来た風が、黒崎くんの前髪を優しく撫でて……
「……っ、」
寸前で顔を背けた。