いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「ってかさ、アンタも俺とキスしたんだし同罪だろ」
「……っ!!」
……そっか。
黒崎くんは、律くんが浮気をしてるのを知っていて、可哀想な彼女をからかって遊んでただけなんだ。
浮気してるのはお互い様ってこと……?
放課後のウソの告白も、キスも。
夜道であたしを抱き締めたことも、あの瞳も。
全部、全部……。
「……そいういうこと、か……」
彼氏に浮気された上に関係ない人からからかわれて。
ほんとあたしって、どうしようもないバカだよね。
「うう~~っく、うう~~……」
どれだけ泣いたんだろう。
薄暗かった教室は、もう目の前の黒崎くんを認識するのも困難なほど闇に包まれていた。
廊下にある非常口を示す緑のランプがほのかに光をもたらすだけ。
こんな時間に校舎に残っている生徒は、あたしと黒崎くん……そして律くんだけかもしれない。
そんな闇の中で聞く黒崎くんの声は、いつもより低く感じた。
「もう帰れよ。……あのふたりと鉢合わせしたいか?」
答えはノー。
あたしは鞄を掴むと逃げ出すように学校を後にした。