いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



軽くガッツポーズをして飛び出して行った和久井くんに少し遅れて、あたしも渋々前へ出た。


場所はちょうど律くんの真ん前。

すぐ側には小野先生もいる。

考えただけで、めまいがしそう……。



「先生出来ましたっ!完璧っしょ!?見て見て!」



最初に答えを書き終えた和久井くんは、褒めてもらいたいのか小野先生を呼ぶ。


反対隣では、黒崎くんが淡々と黒板にチョークを走らせている。


そんな中あたしは……

冷や汗が出て……チョークを持つ手が震えて……。



ちょっとの間だけ、がんばって。


自分を励まして、やり過ごそうとするけど。



あれ……。


チョークの文字が、何重にも見えてきた。

英文がまるで踊っているようにあちこちに飛んでいく。

そのうち、体までふわふわと揺れてきて……。


なんなの……この感覚……。



「……っ、」



次の瞬間視界が真っ暗になり、そこであたしの意識は途切れた。

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