いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
それ以来、律くんは度々あたしに話しかけてくれるようになって。
律くんがそうしてくれることで、自然と他のクラスメイト達とも話す機会が持てるようになったんだ。
地味で大人しいあたしがいじめられもせずクラスに馴染めたのは、律くんのおかげ。
『柏木さんて、ふわふわしててほんと可愛い。なのに人に流されないよね。そういうギャップがカッコいい』
ただ、ウワサ話に乗れないだとか、団体行動が苦手、という消極的要素をポジティブにとらえてくれたもの。
だとしても、あたしのことをそんな風に見てくれたことがすごくうれしかった。
"可愛い""カッコいい"
ほかでもない律くんに掛けられた言葉はあたしの宝物になって、大事に大事に胸の中で繰り返した。
身の程は分かってる。
律くんの特別にはなれないことくらい。
お願い、これ以上好きにさせないで──
だから。
『好きです。俺と付き合ってください』
そう言われたときは夢を見てるのかと思った。
あたしはポロポロ涙を零しながら、律くんの告白に「はい」と返事をしたのだ。