いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



***


キーンコーンカーンコーン


チャイムの音で、瞼が開いた。

目に入ったのは真っ白な天井で、普段嗅ぎ慣れない薬品の匂いが鼻につく。


……ここは……保健室?



ああ。

もしかしてあたし、あのまま倒れちゃったのかな……。


どうやってここへ来たのか全く分からないけど、保健室にいるってことはそうなんだろう。


寝不足だったし、極度の緊張で体が持たなかったのかも。


……教室に戻ろう。

まだ重たい体を起こそうとしたとき、保健室の扉が開いた。



「お世話になってます。柏木さん、具合どうですか?」



細くて愛らしいその声に体が固まる。

保健の先生に挨拶しながら入ってきたその声は、小野先生のものだったから。



「軽い貧血かしらね。しばらく休めば大丈夫でしょう」


「そうですか、なら良かったです。突然倒れたからびっくりしてしまって」


「最近の子には多いのよ。朝食を食べて来ないとか睡眠がとれてないとかで」

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