いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「そういえば、すぐ手当はしたの?」
「してねえ。だって先生待たせちゃ悪いし」
……っ。
……あたしはここにいるんだよ?
寝てると思って油断してたとしても……ひどすぎるよ。
律くんは部活で怪我をしたのに、小野先生に早く会いたくて手当もせずにすっ飛んで行ったんだ……。
それほど律くんは小野先生に本気ってこと。
こんなところで律くんの気持ちまで知っちゃって、もう胸が張り裂けそう……。
「じゃあやっぱり私のせいじゃない」
ちょっと甘えたような、でもうれしそうな声。
生徒の前では絶対に出さないような声で。
「ちょっと見せて」
「やめて下さいってば」
「遠慮しないのー」
ふたりの口調はもう先生と生徒じゃない。
こんなことなら、やっぱり律くんが来た時に目をあけてれば良かったよ……。
ギュッと唇を噛みしめる。
「わっ、結構ひどい打撲じゃない!」
「こんなの日常茶飯事だからほっときゃ治るし」
「ダーメ、手当してあげる。私、養護教諭の資格も持ってるんだから」