いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
そんなことないよ。
だって、律くんは小野先生が好きなんだから。
正直、自分が連れて行くことにならなくてホッとしてたんじゃないかな。
「黒崎のこと見直したかも。女子たちもきゃあきゃあ騒いじゃって、中学生の時のフィーバーが再来って感じ?」
女の子にきゃあきゃあ言われる黒崎くんなんて想像出来ないけど……。
そんな風に女の子に優しくしたら、きっとモテるよね。
そう思ってなぜか、黒崎くんには今のままでいて欲しいと思ったのはどうしてだろう……。
───と、そのとき。
「美優っ!」
青い顔をしてあたしに突進してくる律くんが見えた。
「……!?」
「はぁっ……行き違いだったのか」
軽く息を切らした律くんは、和久井くんの席に座るとあたしの手を握った。
ビクッ。
そんな自然すぎる行為に、神経が過剰に反応する。
この手できっと、さっきまで小野先生に触れていたんだよね……?