いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。


「4時間目終わってソッコー保健室に行ったんだけど、もう教室に戻ったって聞いて」


「……」



お昼も取らずに、保健室に行ってくれたの……?

さっきも来てくれたのに……?



「ほんとすげー心配したっ……はぁっ……」



心底安堵したように息を吐き出すと、今度はあたしの両頬に手を当て顔を覗き込む。

その瞳に、一瞬心の中が温かくなるけど。


……っ。

現実を思い出して、思わず顔を背けた。



……ちがう。

この言葉は全部ウソなんだ。

浮気しながらあたしに優しく出来る、律くんはそんな器用な人だから。



「4時間目も授業どころじゃなくて、美優のことばっか考えてた」



……お願いだから、小野先生とキスしたその唇でウソを重ねないで。



「俺も付き添っていたかったけどダメって言われて」



悔しくて、苦しくて。

涙腺はもう崩壊寸前。


……でもダメ。ここで泣いちゃダメ。

我慢しろ、あたし。



「……美優……?」



唇を噛みしめてうつむいたあたしを、律くんの瞳が追いかけてくる。


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