いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「あ……ご、ごめんね……まだ、体調あんまりよくなくて」
震えないように、なんとか声を絞り出す。
「そっか……。そういえば、まだ顔色悪いよな」
「……うん」
「朝から体調悪かったんだって……?気付かなくて、ごめん」
律くんの顔がほんとに悔しそうに見えたのは、黒崎くんに先に見抜かれて悔しい風に演技するため?
そんな面倒なことをするくらいなら、いっそのことキッパリ振ってくれていいのに。
冷たく突き放してくれていいのに。
そうしたら、律くんの前でこんなに苦しまなくて済むから。
思いっきり、泣けるから。
「無理しないでつらかったら言って。なにかあれば俺を頼れよ」
律くんはあたしの頭をクシャクシャと撫でると席を立った。
それはやっぱりどこまでも優しい律くんで。
見たもの聞いたものの全てが幻だったかのように思えるほど。