いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
そう。
あたしは今日、魔法を解くつもり。
あれから1週間が経った。
その間も火曜日と木曜日に小野先生と浮気をしているかと思うと胸が苦しかったけど。
知っていて曖昧に続けているあたしの方が罪深い気がして。
今日こそはって、覚悟を決めたんだ。
6時間目が終わった後、律くんはいつものように聞いてきた。
『今日も待っててくれるの?』
そういえば、いつもそう聞いてくれていた。
月水金、あたしが待つのを当たり前じゃなく『待っててくれるの?』と。
いつだって、律くんは優しかった。
でもね。
見たものは消せないし、現実をちゃんと受け止めないと。
グラウンドで部活中の律くんが、ふと視線をあげた。
あたしに気づいて手を振ってくる。
あたしも小さく振り返すと、和久井くんに冷やかされたのか頭をはたかれて白い歯を見せた。
それは自然な笑みで、疑いもせずにあたしを好きでいてくれるんだろうと思えるもの。
「…………」