いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「……っ、」
また逃げられなかった。
……2度目の、キス。
どうして……?
どうしてまたキスなんて……
目を見開いたまま、重なるそのひんやりとした温度を受け入れる時間はこの間より長かったかもしれない。
突き飛ばすことも逃げることも出来たはずなのに、どうしてかあたしは動くことを忘れて。
「……だったら……」
離れた唇から冷たく吐き出された言葉。
「……器用に生きてみろよ……」
───その横顔が
どこか淋しげに見えた気がして。
怒ることも、泣くことも忘れ。
哀をまといながら教室を出ていく黒崎くんの背中を、あたしはただ呆然と見送るしか出来なかった。