いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
憎くて別れるんじゃないんだもん。
浮気を問いただすつもりはないし、ありがとうの気持ちを込めて別れを告げるつもり。
黒崎くんが聞いたら、またバカって言うに決まってるけど。
この別れは、お互いが前進するための前向きな別れだから……なんてセンチメンタルな気分に浸りながら廊下の角を曲がったところで。
「……っ」
動きを止め、足を角の内側に戻した。
今のって……?
確認するように、もう一度角から顔を出してそっと覗くと……。
そこには帰ったはずの黒崎くんと……小野先生がいた。
どうして、あのふたりが……?
5時半という時間もそう。人気のない廊下もそう。
生徒と教師が接するにしては不自然なシチューエーションに、嫌でも過敏に反応する。
鼓動が……早くなる……。