いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「言えるわ」
わっ、小野先生もダメだよ。
そうしたら、黒崎くんは切り札を使ってくるかもしれないんだから!
外野のあたしがハラハラする。
だって小野先生は、黒崎くんにあのことを見られてるなんて思ってもいないんだろうし……。
すると黒崎くんの口調がガラリと変わった。
「よくも平気な顔して、ここの教師やってられるよな」
どこか憎悪を含んだ声。
それは、没収されたスマホを受け取る以上の関係性を持つ口調に思えた。
「それは……平気な顔をしていないと出来ないからよっ……」
それに普通に返す小野先生もまた、そう問われる意味がわかっているかのように……。
ざわざわっと、胸がイヤな音を立てた。
なんだろう……この胸騒ぎ。
話を聞かれてるなんてきっと思いもしないふたりは、声のトーンを落とすでもなく話を続ける。
「なにが狙いでここの教師になった」
「狙いなんてないわ。私は昔から教師になるのが夢だっただけ」
「まさか金だけじゃなかったとか?ここの教師になるのも条件だったってわけか」
はっ、と乾いた笑いを吐き出した黒崎くんが天を仰ぎ見る。
小野先生は厳しい顔を崩さず……力強く言う。