いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
疑いもせずにそんなアドバイスをくれる律くんは本当に優しい彼氏。
おまけに手を伸ばして、あたしを立たせてくれた。
カッコよくて明るくて、おまけに自然な仕草で優しさを表現する律くん。
これもきっと生まれ持った性格。
「……ありがとう」
まるでお姫様の様な扱い。
影口でも言われてるけど、シンデレラみたいだと自分でも思う。
顔、強張ってないかな……。
小さく深呼吸して心を落ち着ける。
向かい合うあたし達。
ほぼ距離をなくし、律くんが優しく見下ろす。
すでに制服姿の律くんからは、激しい練習のあととは思えないほど爽やかな香りがした。
「今日俺、シュート決めたんだ。見ててくれた?」
「えっ?あ、う、うんっ」
……見てたと言えば見てたかも。
黒崎くんにキスされて、咄嗟に振り返った先でゴールを決めた直後の律くんを見たから。
「なら良かった。すぐに美優の方見たんだけどわからなかったからさー」