いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「それは違う。少なくとも私は、明應高校の教師としてプライドを持っているわ」
なんの会話だろう。
お金とか条件とかって。
そもそも黒崎くんと小野先生はどういう関係――?
間違っても恋仲でないことは確かのよう。
お互いの口調からは敵対心が見え隠れする。
ただ……今まで不透明だった一連の糸口がぼんやりと見えてきた。
黒崎くんが、どうして律くんの彼女のあたしに近づいて、浮気の事実を教えたのが疑問だったけど。
そもそも。
律くんを起点として考えていたのが間違いだったのかもれない。
黒崎くんは、ただ単に律くんに恨みを抱いて浮気を暴こうとしたわけじゃなくて。
小野先生経由で、その関係にたどり着いたってこと……?
ドクンッ……。
背筋がひやりと冷たくなり、あたしは体を柱の陰にそっと戻した。