いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「そ、そっかぁ……」



お手本みたいに言われると余計に。

だって、これにはふたりを繋ぐ"証"なんてそもそもなかったんだから。


最初の頃は手を洗う時に少し気になったけど、今はお風呂に入るときだって外さないし、もう体の一部みたいになっているペアリング。

律くんも、ずっとつけてくれている。


改めて、リングに目を落として罪悪感に襲われた。



「なんかさ~、これつけてるだけで愛されてるって気がしてきた!」



どこまでもポジティブな万葉ちゃんにとって、それは"証"というより魔法のようなものなのかもしれない。



「やっぱりさ、女の子は愛されてる人の側にいるのが一番幸せだよねっ」



まるで付き合いたてみたいに初々しく頬を染める万葉ちゃんは、昨日までよりもマサキくんへの愛が大きくなってる気がする。



「うちら、この先もきっと安泰だよね!」



おそろという"武器"を手に入れただけで自信が持てる不思議な魔法……。


万葉ちゃんが幸せなのはうれしいし、その幸せに水なんか差したくない。

< 211 / 389 >

この作品をシェア

pagetop