いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



律くんが他の人を見ていることも。

あたしの気持ちが揺れていることも。

絶対に知られちゃいけない。



「うん、そうだね」



ニコリと答えて、心の中を隠した。







***





今日も30分くらい遅らせてから塾を出ると。

バス停から見えるファミレスに、やっぱりその人は居た。


トクンッ……。

明日になれば、また隣り合う彼。


黒崎くん……。



どうしても、目で追ってしまう。

もっと知りたい、そう思う。


やっぱりこの想いを、恋と呼ぶのかな……。





「お客さーん、乗らないんですかー?」



いつの間にかバスが来ていたようで、開いたドア越しに車掌さんにそう声を掛けられた。



「あっ……すみません。結構です」



あたしは軽く頭を振ると、そのままバスを見送った。

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