いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「ううん、そうじゃなくて。黒崎くんて、家で毎日ステーキとか食べてそうなイメージだったから」
「……どんなイメージだよ」
いつからだろう……。
柏木が俺に放つ警戒心を感じなくなったのは。
俺を見て怯えていると思ってた彼女はもういない。
大人しくて周りに流されるだけだと思っていたが、昨日も俺に刃向ってきた。
クラスのヤツ(特に男)と話すときはおどおどしているし、もちろん白鳥と話している時だって控えめだ。
「あ、ごめんね。そういうの、偏見っていうんだよね」
だからこんな風にざっくばらんな会話を男とする姿が想像できなかっただけ。
「ほんとうに、ごめんなさい」
柏木は、もう一度反省するようにペコッと頭を下げた。
サラサラの髪が、肩からはらりと落ちる。
「……っ」
クッ、と喉の奥が鳴った。