いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



コイツごときに、なにペース狂わされそうになってんだよ。


柏木にすれば、俺は厄介なヤツのはずだ。

そう自覚があるからこその言葉を投げかける。



「なんだか知らねえけど、キスされて、俺のこと意識しちゃってるわけ?」



俺に言い寄ってくる女とは違うと感じながらも、このままじゃ調子が狂いそうで、肉じゃがをつつきながら挑発してみた俺に。



「しないと思う?」



いとも当然のように、俺の目を真っ直ぐ見て。



「……っ」



予想外の答えに、掴んだはずのじゃがいもが箸から滑り落ちる。



……なんだよ、これ。

ほんとに天然なのか、コイツ。


挑発したつもりが、さっきから俺が手のひらで転がされている。

完全に調子は狂う。



「お待たせしましたー!」



と、微妙な空気を引き裂くように店員がパフェを持って来れば、柏木の目はキラリと光った。



「わぁ、美味そう。いただきますっ!」



両手を合わせて声を張る柏木を見て、はぁ……とため息。


コイツ、甘い物を前にすると輝くタイプかよ……。

< 219 / 389 >

この作品をシェア

pagetop