いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
キャッチボールみたいにポンポン飛ぶ会話。
だが、俺たちはこんな風にたわいもない会話をする仲じゃないはずだ。
それを一番分かっているのは、やっぱり目の前のコイツらしく。
スプーンを置いて、唇の端についた生クリームを舌でぺロっと拭うと。
「昨日は……ごめんなさい」
「……」
「感情的になっちゃって」
うつむき、突然謝り出した。
さっきまでのキラキラしてた顔とは一転、その神妙な顔に戸惑う。
「……べつに」
それなら、俺の方が謝らなきゃいけないことだらけだろ。
身に覚えのあることは山ほどある。
「黒崎くんに言われたこと、全部間違ってない。だからこそ悔しくて……あたし……」
膝に手でも揃えているんだろうか。
華奢な柏木が、余計に小さく見えた。
「昔からそうなの。本当は不安で仕方ないくせに、嫌われたくなくて大丈夫って言い続けてきた。我慢して、自分の気持ちを押し殺して。これでいいんだって、自分の弱さを正当化してきた」
……ああ、わかる。
俺もそうだから。
「ほんとはもっと強くなりたい。ちゃんと自分の想いを伝えられるようになりたい。こんな自分が嫌い。そう思うのに、変わることすら怖くて……」