いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



ジッと耳を傾ける俺は、わかった気がする。


突然俺の前にやってきて。

屈託なく笑い喋り、好きな甘いものを口にしていたのは。


全部この言葉へ繋がる前振りだったと。


……これが、俺に謝ろうとした柏木なりの方法だったってことに。



「今まで誰もいなかった。あたしの弱さに真正面から意見する人なんて。でも全部当たり。悔しかったのは、それじゃいけないってどこかで思ってた証拠だもん。

でも、ちょっとだけスッキリしたの。今まであんな風に自分の気持ちを言ったことなんてなかったから。ぶつけられた黒崎くんはたまったもんじゃないだろうけどね」



頬を紅潮させてハニかんだあと、申し訳なさそうに俺に視線を送った。



「だから、ありがとう」



ああ、やっぱり俺とは違う。


大切な人に嫌われないように、文句も言わずに必死でしがみつく姿は似ていたとしても。


"ありがとう"や"ごめんなさい"。


それを素直に言える柏木とは、根本的に違うのかもしれない。


誰かのせいにして、周りに逆らって反発してばかりの俺とは……。

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