いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
***
いつもは真っ暗なはずの家の灯りがついていた。
……足が、重くなる。
「遅かったな」
居るとわかってスルーすることが出来ず、リビングへ足を踏み入れた俺に。
立派に設えられた応接セットに体を沈めながらウイスキーを嗜んでいる父さんが眉をひそめた。
「……今日は塾だったので」
「そうか。柊哉は塾通いをしていたんだったな」
「……はい。立派な先生に出会えて光栄です」
自分でぶち込んだくせに、それすら覚えていないのか。
心の中で悪態をつきながら、仮面を被って父さんの友人を立てた。
「メシはどうした」
「はい、外で済ませてきました」
「外食ばかりで栄養は摂れてるのか。医者が自分の体を管理できなくなったら終わりだぞ」
「…………はい」
俺はまだ医者じゃない。
わかってるのか?父さんの管理下にあるただの17歳ってこと。
俺を早く大人にさせたい父さんのプレッシャーが、今日も俺を苦しめてることを……。