いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「はあっ……!!」
俺は今、息が出来ていたんだろうか……。
廊下の壁に背を付けながらズルズルとしゃがみ、シャツの胸元をギュッと握りしめる。
父さんの前で立っていられたのが不思議なくらいだ。
……こういう苦しみを、兄さんも味わってたのか……?
そして俺も……兄さんと同じ運命をたどるのか……?
荒い呼吸を何度も繰り返しながら見つめる先は、兄さんの部屋。
兄さんに……無性に会いたい……。
しばらく入っていなかったその部屋に足を踏み入れた。
ごく、たまにだ。
兄さんに会いたくなった時だけここに来る。
「兄さん、久しぶり」
ベッドに腰掛けた。
もちろん、この部屋に兄さんなんていない。
ただ、部屋の匂いや雰囲気から兄さんが今でもそこに居るような気がするんだ。
兄さんが亡くなってもう3年が過ぎたのに、今でも残る生活感。
父さんは早く片づけてしまえと言っているが、母さんがそのままにしている。