いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
『彼氏が知ったら、どう思うだろうな』
よみがえったのは、悪魔のような声と触れた唇の感覚……。
「う、ううんっ。……ペアリング……すごくうれしい……」
唇にキスの跡なんて残ってないのに。
間近で見られたらバレる気がして、恥ずかしいふりしてうつむいた。
「なら良かったあー」
すると律くんは安心したように言って、あたしをグッと抱きよせた。
あたしの一言に顔を曇らせたり喜びを爆発させたり。
もったいないくらい、律くんはあたしに沢山の"好き"をくれる。
……どうしよう。
白いシャツの胸元に顔をうずめながらも、あたしの脳裏を支配するのは黒崎くんの不敵な笑み。
消したくても、消えてくれない。
その顔も感触もなにもかも。
あれは事故だよ。
あそこにあたしの意志なんてない。
そう思っても、黒崎くんと唇が触れあったのは確かで。
あたしの心は今、
罪悪感で黒く塗りつぶされていた。