いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「……ちくしょうっ、ちくちょうっ……!!!」
それなのに、まだ無力な俺は父さんにあらがうこともできない。
……俺こそが、父さんの忠犬だ。
そんな自分がイヤでたまらない。
だからこそ、父さんの言う通り早く大人になって、自分の足で歩ける人間になりたい。
俺は……絶対に屈しない。
父さんに喜ばれるためじゃない。
兄さんのためにも、クソくらえな世の中の波にあらがって生きてやるんだ。
グッと睨みを利かせたその先……兄さんの机の引き出しに手を伸ばし、奥の方から1枚の写真を取り出した。
兄さんの隣で微笑んでいるのは。
かつて兄さんの恋人だった女性。
俺が、一番憎んでいるヤツ……。
───小野美鈴だ。