いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
視線の先
「わわわっ……!!」
目の前に、白いボールがものすごい勢いで跳んでくる。
それを打ち返そうとして……というより顔を守ろうとして出した腕に当たり、その衝撃であたしはドサッとそのまま床に倒れ込んだ。
「いったぁ……」
「美優っ、大丈夫!?」
キュッキュッ、とシューズの音を響かせながら万葉ちゃん飛んできて、あたしを起こしてくれた。
今は体育の時間。
体育館でバレーの試合をしているんだけど、相手コートにはバレー部の子がいてその一打にやられてしまった。
「ったくもー、あんな本気のスパイク素人に打つなんて反則だよー」
そう言う万葉ちゃんも負けてないけどね……。
同じバレー部の意地なのか、闘争心剥きだしでバシバシサーブ打ってたもん。
そのお返しと言わんばかりにあたしが狙われてこの有様。
周りからはクスクス笑う声が聞こえてくる。
ただのクラスの目立たない女子なら、笑われなかったかもしれない。
……律くんの彼女だからだよね。