いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「おー!黒崎もいい動きしてんじゃん」



万葉ちゃんもそれに気づいてさらに身を乗り出す。


ドキドキが、加速した。


……だから認めたくなんかなかったのに。


黒崎くんが視界に入るだけで勝手にドキドキをはじめる胸。

意識するなって思うのに、思えば思うほど逆らうようにそれは加速する。



昨日の塾帰りにファミレスに入ったのは衝動的だった。


黒崎くんを目にした瞬間、胸の奥がギュッと苦しくなって。

ダメだって思うのにどうしても抑えられなくて。

自分で……その一歩を踏み出しちゃったんだ。


あたしの方こそ浮気してる。

律くんと付き合ってるのに他の人に会いたいと思うなんて。


"浮気の線引きはキス"

そう思って、あたしは黒崎くんにされたキスに悩んでたけど。

あのキスなんて浮気に入らなかったんだと思う。


なのに。

考えれば考えれるほど、胸の中が黒崎くんでいっぱいになってた。

心のなかのモヤは、黒崎くんへの想いの塊だったんだ。

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