いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



悪いのはあのキスだったかもしれない。

だけどそれはただのキッカケで、あたしは自分で気持ちを持って行っちゃったんだ。


……気付いたの。

ほんとの浮気とは、気持ちが傾くことなんだと。




「あの一件いらい黒崎の株が上昇中らしいよ」


「あの一件……?」


「お姫様抱っこ事件」


「……!!」



体が燃えそうに熱い。

記憶はないのに黒崎くんにそんなことされたって思うだけで、心臓が破裂しそうになるよ。


そんな自分がイヤ。

なにやってんのって呆れる。


……それでも、加速しはじめたばかりの想いにブレーキなんて効かなくて。


あたしの目は黒崎くんから離れない。


体育なんて真面目にやってるイメージがなかったのに、真剣にボールを追っていた。

長身の体を存分に生かしてリバウンドをしたり、相手のドリブルをカットしたり。



……カッコいい。

普段見られないそんな姿に、あたしの目は黒崎くんにくぎ付けになってしまった。

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