いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「キャー!」

「行けーーーー!」



この歓声は黒崎くんのパフォーマンスに飛ぶもの。


…………。


なんだか複雑な気持ち。

律くんに同じような声が飛んだ時にはこんな風に感じなかったのに。

それはもう慣れてるから?諦めてるから?

……わかんない。


ただわかるのは、今は黒崎くんに飛ぶ声援が気になってしょうがないってことだけ……。



律くんも負けてなかった。

必死に黒崎くんに対抗して、2人はいつの間にか激しい競り合いを広げてた。

コートには10人いるのに、まるで1オン1を見てるみたい。



「やだ、あのふたりマジじゃない?」



万葉ちゃんも身を乗り出す。



ほんとだ。

すごい本気。

意識し合ってるって思うくらいに、なぜかお互いを執拗に攻めていた。



「危ないっ……!」



ものすごいスピードで走るふたりが接触しそうになって、ギュッと目を閉じた。

< 240 / 389 >

この作品をシェア

pagetop