いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
咄嗟にコートの中に意識を戻すと、そこでは律くんと黒崎くんが倒れていた。
えっ、ぶつかったのっ!?!?
お互いに顔をしかめて腕や足を抑えていて、文句を言うわけじゃないけどその瞳は確実に相手を責めている。
瞬間は見てないけど、すごく競っていたわけだし。
どんなぶつかり方だったかを想像しただけで背筋が凍る。
「ほら言わんこっちゃない。あんな競ってたら接触するってー」
その横で、『ん、もうっ!』と舌打ちする万葉ちゃんは、流れがストップしたのが残念みたいだけど。
「お前ら熱くなり過ぎだぞ。ふたりとも交代だ」
どう見ても試合続行は不可能。
体育の先生にそう命じられたふたりは離れた場所に散る。
律くんは仲間に囲まれ打った箇所を心配されていて、黒崎くんはひとり体育館の隅で気怠そうに壁に体を預けていた。
体、痛くないのかな……。
ぶつかった上にあんなに激しく転んで……。
傷をさするでもなく無の表情をしている黒崎くんを見つめていると。
「ちょっと、どっち見てるの?律はあっちだよ」
「へっ……!?」