いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



ま、まずいっ。

万葉ちゃんに肩を揺さぶられて、あたしは慌ててそこから目を逸らした。



「どうしちゃったのよ、美優」


「だよねっ……ほんと、どうしちゃったんだろう……」



取り繕って、へへっと笑う。


万葉ちゃんの視線の先は律くん。

相変わらず律くんは友達に囲まれていて、心配されてる様子。



「あれ相当痛いと思うよー。あのスピードでぶつかってんだから」


「骨が折れてるなんてことない?」


「骨?大丈夫だよー、律はそれなりに鍛えてるんだし」



ああ、そっか。

じゃあ。



「く……、」


……っ。

あたしは咄嗟に口に手を当てた。


"黒崎くんは……?"


危うくその言葉をもう少しで発するところだった。



「く?」



だけど万葉ちゃんにはその言葉を拾われて、



「……っ、あ!……く、薬……とか……塗っておいたほうがいいよね?」


「あー、ちょっと腫れるだろうしね。サッカー部なんだからその辺の対処法は分かってるはずだよ」


「そ、そっか!」



なんとかごまかした。


< 243 / 389 >

この作品をシェア

pagetop