いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
ま、まずいっ。
万葉ちゃんに肩を揺さぶられて、あたしは慌ててそこから目を逸らした。
「どうしちゃったのよ、美優」
「だよねっ……ほんと、どうしちゃったんだろう……」
取り繕って、へへっと笑う。
万葉ちゃんの視線の先は律くん。
相変わらず律くんは友達に囲まれていて、心配されてる様子。
「あれ相当痛いと思うよー。あのスピードでぶつかってんだから」
「骨が折れてるなんてことない?」
「骨?大丈夫だよー、律はそれなりに鍛えてるんだし」
ああ、そっか。
じゃあ。
「く……、」
……っ。
あたしは咄嗟に口に手を当てた。
"黒崎くんは……?"
危うくその言葉をもう少しで発するところだった。
「く?」
だけど万葉ちゃんにはその言葉を拾われて、
「……っ、あ!……く、薬……とか……塗っておいたほうがいいよね?」
「あー、ちょっと腫れるだろうしね。サッカー部なんだからその辺の対処法は分かってるはずだよ」
「そ、そっか!」
なんとかごまかした。