いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
……やだあたし。
律くんよりも黒崎くんを心配してるなんて。
どうしよう。
まるで自分の心が別の人に乗っ取られたみたい。
これが、ほんとのあたしの気持ちなの……?
そんな歪んだ自分の心を認めたくなくて、
あたしはどちらからも目を逸らしてきつく膝を抱えた。
律くんはあのあと保健室に行ったようで、体育を終えて教室に戻ってきたときには腕に湿布が貼られていた。
「……どう?痛む……?」
そんな律くんに声を掛けるのは、"彼女"としては当然であり。
「こんくらいどうってことないよ。部活でも接触なんてしょっちゅうだし。ただ先生が応急だけでもしとけってうるさいから行って来ただけ」
「そっか、安心した。だけどあんまり無理しないでね」
昨日の不穏な雰囲気なんてなかったように会話は進む。
「そういう美優こそ腕どうしたの!?」
「あ……」
そういえばそうだった。
強烈アタックを浴びた腕は早くも赤から青に変色している。
内出血がかなりひどいみたい。