いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



これは目を見て話さなきゃ不謹慎な気がして。

顔を振ったあたしに映ったの黒崎くんの顔は、すごくつらそうだった。


実のお兄さんだもん、悲しくて仕方ないよね……。

わかる、なんて軽く口に出来ないけど、その気持ちに寄り添うように目を伏せたとき。


まさかの声が耳に届いた。




「事故、───という名の自殺」



…………!?

あたしは口に手を当てた。


いま、なんて。

事故じゃ、ないの……?



「自殺だなんて黒崎家の恥だってよ。父さんが事故って隠蔽しただけだ」



だけ、って。



「な、んで……?」


「父さんが1番大事なのは病院で、2番が体裁。……跡継ぎが自殺したなんて知れたら病院に傷がつくとでも思ったんだろ……」


「……」


「そういう人間だ、父さんは……」


「……」


「俺たちの気持ちなんてまるで考えてない」



冷たく、苦しそうに放ったその横顔に。

思い描いていた、なに不自由のないはずの黒崎くんの私生活がガラガラと音を立てて崩れていく。

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