いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



「言われるまま金をもらって別れるなんて……っ、結局は兄さんを見捨てたも同じだろっ…!?」


「……」



それは彼女さんを指している。

同意を求められて、すぐには頷けないあたしがいた。


それは……そうかもしれないけど。


もし自分がその立場になったらどうするだろう。

彼の将来を考えろと父親に言われれば、同じ女性として、彼女の選択を一概には責められない。



「アンタ、今一瞬女に同情しただろ」


「えっ……」



見抜かれて、口ごもると。



「これを聞いてもそう思えるか?」



試したような声を吐き出したあとに放たれたのは、あまりにも衝撃的すぎる言葉だった。



「兄さんを見捨てたヤツの名前は……小野美鈴」


「えっ……」



その、よく知る名前に頭が混乱した。


オノミスズ、って。

小野、先生……?


……それってどういう……



「あいつ……兄さんの女だった」


「……!!!」



お兄さんの彼女……

それが……小野先生……

小野先生は、律くんの……


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