いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



まだあたしの頭の線がバラバラな最中、黒崎くんは拳を机に叩きつけた。



───ダンッ……!!!



「そのくせ、ぬけぬけとここの教師になって生徒までたぶらかしてる。んなの狂ってるとしか思えねえだろっ……!!!」



空気を切り裂くような音が響き。

その拳は怒りと比例するように震えていた。


……もっと大きい感情が、黒崎くんの中にあった。


お兄さんへの悲しみよりも。

お父さんへの苛立ちよりも。

自分自身への後悔よりも。


そのどれをも超えてしまう感情が。


亡くなったお兄さんの彼女が小野先生で、小野先生のせいでお兄さんが亡くなって、小野先生がたぶらかしているのが律くん……。


聞いた言葉がようやく整理できた。


だから、黒崎くんは。





「……そう、か……」


< 256 / 389 >

この作品をシェア

pagetop