いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



どうしよう。

あたし……。



「ふざけんなよっ……」



もうひとり。

同じように困惑してるのは……黒崎くん。



「……んなバカな話があるかよっ……。兄さんから抜け出せねえ?兄さんを捨てたのはテメエだろっ!!!!」



誰に視線を合わせるでもなく宙に吐き出すそれは、きっと小野先生へ向かって。


お兄さんを裏切って死に追いやった。

そう肯定して憎みたい彼の、"信じたくない"……そんな想いが溢れ出ていた。



「今更なんだっつんだよ……!!!」



お兄さんを捨てた上に、律くんをたぶらかしてると思って。

復讐の一端として律くんの彼女のあたしに近づいて……。

でも小野先生は律くんをたぶらかしていたわけじゃなくて。

お兄さんを忘れられなくて苦しんでる末の行為だったと知ったら……。



「…………あり得ねえだろおおお……っ…!」



絞り出すように言った後、

手当たり次第の机を崩しながら黒崎くんは教室を出て行った。


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