いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「……美優は……知ってたんだな……」
律くんは、放心しているあたしを支えるように両手を添えた。
「……ほんとにごめんっ……」
浮気じゃなかった。
「不安にさせて悪かった……」
なのに、こんなに胸が苦しいのは。
「……許して……欲しいっ……」
いいよ……なんてあたしに言う資格なんてない。
だって……。
あたしはもう、気持ちが別の人に向いてしまってるんだから……。
律くんへの不信感と同時に生まれてしまったこの想いは、もう加速を続けてて……。
律くんが浮気してなかったことが分かったからって、消えるわけじゃない。
「いつも美優のことが頭にあった。申し訳ない……そう思うのにこれは浮気じゃなくて人助けだから、なんて自分の中で割り切ってた。
美優にしたら……いいわけなんてないのにな……」
律くんの手があたしの髪を撫でる。
いとおしくて心地良いはずの律くんの手は、白く染まったままのあたしの心に黒い影を落とす。