いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



***


お昼休み。


いつものようにお弁当を机の上において、包みを開けようとすると。



「あーっ、美優。今日はここじゃなくてさ」



万葉ちゃんが慌てたようにそれを止めた。



「ん?どっか行く?」



別の場所で食べたいのかな?



「ううん。今日は律と食べてきなよ。実はさっき律から言われたの。たまには美優を貸してくれって。屋上で待ってるって」



そんなことを律くんが……?



「え、じゃあ万葉ちゃんは?」


「そんなこと心配してくれんの?あたしはどうにでもなるから気にしないの~」



心配無用というように明るく手を振る万葉ちゃん。


明るい万葉ちゃんならたしかにその心配はないと思う。

逆にあたしだったらひとりぼっちのお昼は確定だろうな。

健康体の万葉ちゃんのおかげで、今までひとりにならなくて済んでるけど。


それにしても。

律くん……どうしたんだろう……。



「今日の屋上あっついだろうなー。あんたたちふたりの熱で学校溶かさないでよ~?」


「ぷっ、やだ万葉ちゃんたら!」


「早く行ってきなって、律待ってるよ!」


「うんっ、わかった」



急かされて、お弁当箱を胸に抱き屋上まで急いだ。


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