いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「美優、こっちこっち!」
屋上のドアを開けるとすぐに律くんの声がして、あたしはそこへ駆け寄った。
もうすぐ6月も後半に差し掛かっているし、この間万葉ちゃんと来た時よりも確実に体感温度は高い。
屋上にいる人の数もずいぶん少なくなっている。
「急に誘ったりしてごめんな?」
「ううん、大丈夫だよ」
律くんは一番乗りしたのか、唯一の日陰を確保していた。
ここなら涼しくお弁当が食べれそう。
「来てくれてよかった」
そう言ってはにかむ律くんは、あの日以来小野先生との関係はキッパリ断ち切ったみたい。
「たまには美優と一緒にお昼食べたくてさ」
「……」
今までだったらこんな言葉、心臓が飛び出ちゃうくらいうれしいはずなのに。
ごはんなんて喉を通らないほどうれしかったはずなのに。
……今は違う意味でごはんが喉を通りそうにないよ。