いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



──と、文句を言いつつカレーパンを手にした律くんに、あたしはお弁当を差し出した。



「良かったらこれ、食べる?」


「え?」



律くんは目を丸くする。



「うん。あ、でも今日はお母さんじゃなくてあたしが作ったやつだから味の保証はないけど……」


「えっ、これ美優が作ったの!?じゃあ尚更食べたいっ!」



キラキラした目をいっそう輝かせてそう言われてしまえば、今すぐにお弁当をひっこめたくなる衝動に駆られた。


気軽に言ってみたのに、すごく期待されちゃってる……。

どうしよう。

でも提案したのはあたしだし。



「……ほんとに普通のお弁当だけど。どうぞ」



手作りのお弁当を食べてもらうなんてちょっとハードルが高いけどそのまま手渡した。


交換するように渡されたのは、カレーパンと他のパンも入った紙袋。



「じゃあ美優はこれで。カレーパンとか惣菜パンなんだけどいい?」


「うん、カレーパン大好き」



袋の中をのぞけば、食欲をそそるいい香りが充満していた。

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