いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「あ、ごめん」
声と同時に離れた手。
…………。
ゆっくり目を開けると、顔を背けた律くんが苦笑いしていた。
「今、ガーリックパン食ったんだった。口ん中ガーリックが占拠してるから危険だよなっ!」
あははって声をあげたあと、食べていたパンの包みを見せてくれる。
……え。
ふっ、と体の力が一気に抜けた。
「あーもーほんと、俺ってばマヌケ。こんなの食うんじゃなかったあー!せっかく美優とキス出来るチャンスだったのに!」
なっ!っていって見せる笑顔に……ぎゅううと胸が締め付けられた。
じゃあ、なんでそんなに傷ついた顔してるの……?
笑っているのに、目は全然笑ってないよ。
……そっか、作り笑いってこれなんだ。
こんな簡単に相手にバレるものなんだ。
そんな笑顔を、あたしは何度見せていたんだろう。
あんなに好きだったのに。
どうして人の心は移り変わるの……?
「……ごめんね」
思い余って、思わずそう口走ると。
律くんはあたしをギュッと抱きしめた。