いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「だってさ、ペアリングって女の子の憧れじゃん?なのにマサキはそんなのありえねーって言うんだよ?あたしとおそろがイヤなのかな、まったく失礼しちゃうんだから」
そして小声で言って、キレイにかたちどられた唇を尖らせる。
マサキくんという万葉ちゃんの彼は、やっぱり同じバレー部。
「バレー部だからじゃない?」
「えー、関係あるー?」
「あるよ。だって手を使う競技だもん」
「べつに支障ないでしょー」
「ほら、スパイク打った時に指輪がふっ飛んじゃったら困るし」
「ふっ飛ぶって!くくくっ」
お腹をよじって笑う万葉ちゃん。
「美優は優しいねー。そのフォローには涙がでてくるよ」
「フォローなんかじゃないのに」
きっとそうだよ。
サッカーは手を使わないからリングをはめてたって大丈夫なんだよ。
もしバレー部だったら、律くんだってきっとそんな選択はしない。
「マサキくんは、万葉ちゃんのことすっごい大好きって見ててわかるもん。大事なのはそこでしょ?」