いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
「黒崎がそんなに気になる?」
「……っ、」
即答出来ないのが答え。
それでもまだ足掻きたいあたしはなんとか言葉を絞り出した。
「……そんなこと、ないよ……」
「ちょっとおいで!!」
すると万葉ちゃんはあたしの腕を掴んだ。
そのまま一緒に立ち上がって廊下へ連れ出す。
……か、万葉ちゃんっ……!?
「言っとくけど美優のウソなんてすぐばれるからねっ!」
「うっ……」
「最近の律と美優、ちょっとおかしいし。もしかしてもしかしてだけど、黒崎が原因なわけ?」
周りに人がいないのを確認して、なおかつ耳元で囁くその内容は、もし誰かに聞かれていたら相当まずいもの。
それがわかる万葉ちゃんには、あたしと律くんの微妙な距離感はお見通しだったみたい。
まるで自分のことみたいに不安そうに眉を寄せた。
「……うん……。実は……」
ここまで来てごまかすわけにもいかなくて、あたしは認めてしまった。
「なるほどねえ。だからあのお姫様だっこなわけね」