いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
あたし、柏木美優(カシワギ ミユウ)は今、どうやら告白されているみたい。
呼び出されたわけでもなく、ひとり残っていた教室に彼がやってきて告げられたそれは、あまりに突然のことだった。
『好きなんだけど』と一言。
告白にしては、あまりにもぶっきら棒で冷たく。
まるでそんなものを信じられるわけもなくて。
「あ、あの……」
あたしは言葉にならない声を発しながら、頭ひとつ分とび抜けている目の前の彼をジッと見つめた。
彼の名前は、確か……黒田……ちがう、黒崎。
そう、黒崎(クロサキ)くんだ。
下の名前は……しらない。
高校2年に進級してまだ一週間。
40人弱いるクラスメイトの顔と名前が一致しないのは、あたしだけじゃないはず。
どちらかというと目立たないあたしは、特に。
1年のとき違うクラスだった黒崎くんとは、話した記憶もない。
なのに、どうして……?