いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



***



そして放課後。



「わっ、大きすぎるっ……」



あたしは今、一軒のお屋敷の前で心臓をバクバクさせている。



恋の力のすごさ。

あたしは今日それを思い知った。


万葉ちゃんにあんなことを言われたら、どうしても自分の目で黒崎くんの無事を確かめたくなって。

気付けば岸本先生に黒崎くんの家を聞いていた。


個人情報だからダメかと思ったけど、案外簡単に教えてくれた。


『黒崎の家に行くならこれを持って行ってくれ』


渡したいプリントが沢山あったらしく、それを持っていくという条件で。


家に行くことを止められない。

それは黒崎くんの無事を物語ってる。

だったらもういいはずなのに。


プリントの入った封筒を渡されてしまえば行かないわけにもいかず。

……それよりも、会いたいという想いが勝って。



それにしてもさすが医者の家。敷地が広すぎる。

立派な門の向こうは緑に覆われていて、玄関がどこにあるかもわからない。

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