いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。
……あぁ、ダメか。
あたしなんかが来て開けてもらえるはずないよね。
それに黒崎くんは気まずいはず。
律くんと小野先生が浮気してると思ってあたしに近づいて来たのに、ほんとはそうじゃなかったんだから。
あたしに合わす顔なんてないんだろう。
諦めて帰ろうとしたとき。
「わわわっ」
目の前の門が自動で開いてビックリする。
わー、すごい。これ自動なんだ。
って、え?
入っていいってこと?
辺りを見回しても他に来客はいないし迷ってる暇はない。
「お、お邪魔しますっ」
誰にともなく呟くと、長い石畳を玄関めがけてつき進んだ。
***
「……」
あたしはいま、リビングというところに通されてるんだけど。
ものすごく広いうえに、調度品なんてうっかり触って壊したらすごい額を請求されなほど豪華なモノばかりがずらーっと並んでいて、がっちがちに緊張してる。
「なんもねーけど」
ガシャン!
借りてきた猫みたいになってるあたしの前に大きな音を立てて置かれたのは、高級そうなカップに入れられた紅茶。
「あ、ありがとうございます……」
おうちの人が淹れてくれたのかと思ったけど、黒崎くん以外の人がいる気配はしない。