いつか、このどうしようもない想いが消えるまで。



……まさかお茶なんてもらえると思わなかったのに。


あたしは落ち着かず、辺りをキョロキョロ見渡す。

広すぎるせいなのかどことなく寒々と見える。

お母さんは……留守なのかな。


黒崎くんは自分用にも紅茶を淹れ、机を挟んで向かいのソファに座った。


久々に顔が見れて、うれしさでキュッと音を立てるあたしの胸は素直すぎる。


思ったほど顔色も悪くもなく、やつれた様子もない。

ちゃんとご飯食べられてるんだ。

いつもの無愛想な顔を見れば、これが本来の黒崎くんだなんて安心もした。



「俺のこと笑いにでもきたのか」


「え……どうして……」


「陥れるつもりが、逆に恥かいたんだからな」



やっぱり黒崎くんは、あたしに合わす顔がないと思ってるんだ。



「そんなこと……あるわけないよ」


「まあいい。俺も、アンタに聞きたいことがあったからな」



そう言うと、紅茶に口をつけてから切り出した。

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